テラシュールブログ

旧テラシュールウェアブログUnity記事。主にUnityのTipsやAR・VR、ニコニコ動画についてのメモを残します。

【Unity】LWRPでポストプロセスを使用しつつUIの手前にパーティクルを表示する

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PCを新しくしてからの初更新です。

環境:Unity 2019.2f8、LightWeight RP 6.9.1

LWRPはカメラのスタックができない

 いろいろと便利なLWRPですが、一つだけよく言われる致命的な問題があります。 カメラを複数使用して描画する事ができない という点です。 RenderTexture に描画結果を出力して後でまとめるといった事は可能なのですが、今まで使ってきた 複数のカメラを使って描画する事が出来ないのは、非常にもどかしいです。

 特に問題になりやすいのはUIとパーティクルの描画です。 よくある演出として UIの手前にエフェクトを表示する があります。これは大抵の場合「ゲームを描画するカメラ」「UIだけを表示するカメラ」の二つに分けて描画し、「UIだけを表示するカメラ」にパーティクルを描画させることで実現していました。  ただしLWRPになりカメラのスタックが出来なくなったので、専用カメラが使用できません。よって異なる方法を考える必要があります。

 難しいのが、まず ScreenSpaceOverlay は使えません。UIの手前にパーティクルを描画出来ない為です。   また ScreenSpace-Camera でも単純には上手くいきません。単純に処理すればUIがポストプロセスの影響を受けるので、特にカラーコレクションを使用すると盛大に色合いが変わってしまいます。またBloomやDOFの影響を受けるのはひどいです。同様にPlaneDistanceの設置でUIがステージにめり込む事もあり得ます。この設定をいくら小さくしても、手前で爆発するなど何らかの理由でUIよりステージオブジェクトが手前に描画される事があるのは問題でしょう。

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UIがポストプロセスの影響を受けてしまっているケース

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UIがステージにめり込んでしまっているケース。ScreenSpace-CameraだとPlaneDistance設定で起こりえる

PostProcessingの後にUIとパーティクルを描画する

 一番手っ取り早いアプローチは Custom Forward Render を使用して、UIとパーティクルを描画する事です。 このアプローチではUIをポストプロセスの影響を受けないようにしつつパーティクルをUIの手前に描画出来ます。また Screen Space Camera を使いつつもステージやキャラクターの後ろにUIが表示されるといった事も回避できます。
 この手順のアイディアは非常に単純で 任意のレイヤーに所属するオブジェクトを、ポストプロセスの後に描画しよう というものです。

 実際の手順はこんな感じです。

 まず最初にUIは ScreenSpace-Camera を使用する必要があります。 CanvasのRender ModeをScreen space-Cameraに設定します。またCanvas GameObjectのレイヤーはUIに設定します。パーティクルのGameObjectもUIに設定します。
 パーティクルをUIの手前に描画したいので、Order in Layerを使用してUIの手前にパーティクルを描画するように設定します。 UIの場合はCanvasに、パーティクルの場合はRendererにあります。

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Canvasの設定

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ParticleのOrder In layerを設定する場所

 レンダラー側の設定を行います。まずは Create > Rendering > ***Pipeline > Forward Renderer でCustom Forward Rendererアセットを作ります。その後、Lightweight Renderer Pipeline AssetのRender TypeをCustomに設定し、Custom Forward Rendererアセットを登録します。

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Custom Forward Rendererを作る

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Custom Forward Rendererを使用する設定

 次にCustom Forward Rendererの設定を行います。ここは少し手順が多いので、箇条書きします。

  1. Default Layer Mask から UI を外す。
  2. Render Features+ を押す。追加するパスは Rendere Object を選択
  3. NameUIに変更(任意)
  4. EventAfter Rendering に変更
  5. Filters > QueueTransparent に変更
  6. Filters > Layer MaskUI を選択
  7. Override > Depth にチェックを入れ、Depth TestDisabledに変更

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手順

これでUIの手前にパーティクルを描画出来ました。

UIの間にパーティクルを挟む

 今回の手順では描画順は完全にOrder In Layer順になっています。なのでパーティクルの所属するOrder In LayerをCanvasの間に挟んでやれば、UIとUIの間にパーティクルを挟む事も可能です。

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UIとUIの間にパーティクルを挟む

注意点

 これはあくまでもパーティクルがTransparentを使用している前提の使い方なので成立しています(つまりDepth Testを使用していない事が重要)。もしUIの手前に複数のSubMeshを持つオブジェクトを描画するといった場合はRenderTextureをオフスクリーンで描画する方が理にかなっていると言えるかもしれません。

 今回の手順はURPでも使用できました。HDRPは不明です。

 ScreenSpace-Cameraを使用する関係上、編集する場合にはPrefabモードが便利です。ただし、その場合ScreenSpace-Overlayになるので(PrefabからScene上のカメラを参照出来ない為)描画順回りは少し混乱するかもしれません。

 カメラのスタックはロードマップには載っているみたいです。現状は未実装なので、このトリックが必要という感じで。

【Unity】2019.2で追加されたTryGetComponentについて

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Unity 2019.2から、TryGetComponentというAPIが追加されました。何時も通りGetComponentで取得する際、なんか見覚えがないAPIがあってビビったのはここだけの話。

TryGetComponent

今まで「コンポーネントが割り当てられていない状態」を取得する場合、とりあえず GetComponent で取得して中身がNullかどうかを確認するというのが常套手段でした。

            var component = array[i].GetComponent<SampleComponent>();
            if (component != null)
                component.Value++;

TryGetComponentは、戻り値にコンポーネントを取得できたかを確認してくれます。例えば上と同じ動作は、下のように記述出来ます。

            if( TryGetComponent(out SampleComponent comp))
                comp.Value++;

パフォーマンスは?

パフォーマンスですが、GetComponentで取得後にNullチェックするのと大して変わりません。これは「ビルド前後」「取得するコンポーネントの有無」に関わらずです。

試しに下のようなコードで毎フレーム1000個ほどGameObjectを複製してGetComponentした所、こんな結果になりました。エディターでTryGetComponent時に妙に遅いのを除けば、大体想定した感じの動きです。

        SampleComponent comp;

        Profiler.BeginSample("test_TryGetComponent");

        for (int i = 0; i < data.capacity; i++)
        {
            if( TryGetComponent(out  comp))
                comp.Value++;
        }

        Profiler.EndSample();
        Profiler.BeginSample("test_GetComponent");

        for(int i=0; i<data.capacity; i++)
        {
            var component = array[i].GetComponent<SampleComponent>();
            if (component != null)
                component.Value++;
        }

        Profiler.EndSample();

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コンポーネント有りエディター

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コンポーネント有りビルド後

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コンポーネント無しエディター

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コンポーネント無しビルド後

というか、コンポーネントが存在する対象に対するGetComponentが妙に早い気がします。あれ?こんな速度だっけ?

【Unity】LWRPの2Dパイプラインで、ShaderGraphを使ってみる

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今回はLWRPの2DRendererでShaderGraphを使用してみます。

2Dパイプライン

コチラを参照

tsubakit1.hateblo.jp

Shader Graph

この2Dパイプラインでは、単純なLit/Unlitのシェーダーだけでなく2D用のマスターノードが用意されています。コレを使用すると、スプライトレンダラー向けの表示にもShaderGraphを使用したシェーダー構築が可能になります。

それ以前にもUnlitのシェーダーを使用すれば簡単な表現はできたんですが、Spite Mask等にちゃんと対応したマスターノードが提供されたという感じです。マスターノード、もうちょっと簡単に構築出来れば良いんですが…

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使ってみる

Shaderを用意する際には、Create > シェーダー > 2D Renderer から作りたいシェーダーを選択します。Litが光源処理に対応したシェーダー、Unlitが対応していないシェーダーです。

あとは作成したシェーダーをダブルクリックでShader Graphを起動、編集していきます。

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Shader Graphでスプライトを使用する場合、必ず _MainTexのTexture2Dを要求しますので、コレを追加します。下のシェーダーは今までのシェーダーと同じような動きをするシェーダーの例です。

MainTexが無い場合、「Material does not have a MainTex property. it is required for sprite renderer」と表示されます。

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他のテクスチャ設定ですが、Secondary Textureで設定したテクスチャの名称と一致します。例えばNormalMapのテクスチャを設定した場合、ShaderGraph側でもNormalMapと設定すれば、シェーダー側で使用できるようになります。

なおノーマルマップは普通にSamplerTexture2Dでとってくれば良いです。

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後は色々と頑張って作れば、簡単なエフェクト程度なら割とサクっと作れます。下は試しに作ったスプライトをチェック柄に消す奴(トップ絵の)

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注意事項

  • Emissiveが効きません。
  • SpriteAtlasを使用すると絵が破綻します
  • 別に2D用ノード必要なくね?…それな

【Unity】LWRPのライトで †暗黒の光† をしたかった

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今回は昨日チラっと書いた、暗闇をライトで表現するアプローチについてです。

意図的に暗い空間を作る

ステージを作るとき、 重要である事を示すために明るくする 事はよくやりますが、メリハリを付けるためにどうでも良い空間は暗くしたいといった事がよくあります。また同様に、隠すといった目的で特定の範囲を暗くしたいといった場合もあります。ゾンビは暗がりから出るものです。

今回は光の減算で、暗がりを意図的に作ってみます。

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前提条件として、前回の作業は完了しているものとします。また作業環境も同じです。

tsubakit1.hateblo.jp

ライトの減算設定を登録

2D Renderer Data(カスタムパイプラインに登録しているアセット)の設定に少し手を加えます。

  • Blend Style 2 にチェックを入れる
  • 名前を Dark に設定 *1
  • Blend Modeを 減法 に設定

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実際に暗黒の光を発する発光体を配置する

実際にライトを配置してみます。

  1. 2Dライトを配置(種類は問わない)
  2. Blend StyleをDarkに設定

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通常のライトを配置した場合と比較すると、こんな感じになります。ダークパワーが溜まって云々

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注意点

  • 色は「現状の光 - 白(1,1,1)」なので、色を黒くするとダークパワーが低下します。
  • Sorting Layer関係なく全てのスプライトに影響します(やり方はあるかもしれませんが)

*1:喧嘩チームDRAKではない